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Miura Architect Atelier
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三浦尚人建築設計工房
住まいづくりコラム#22「坪単価の持つ意味」
土地の評価・価値や住宅建設費を比較するための数値としてよく使われる「坪単価」という用語。
正直に言って、私はこの「坪単価」という用語を土地探しからサポートを行うお客様には、土地を探すうえで必要なために用いますが、住宅設計においてはあまり使いません。
それは、土地の坪単価の計算方法が土地の売値(円)を広さ(坪)で割った数値と明確であるのに対して、住宅建設費の「坪単価」と言ってもその計算方法が明確化されていないからです。
皆さんが思っている「坪単価」と私が思っている「坪単価」が果たして同じ意味を持つのかも疑問なのです。
計算方法としては、住宅建設費(円)を床面積(坪)で割るということについては、皆さんも私も異議が無いと思いますが、問題は住宅建設費と床面積のほうなのです。
ひとくちに建設費、床面積と言ってもそれぞれどこまでを含むのかによって、この「坪単価」という数値が大きく変わってきてしまうのです。
建設費は、住宅の総工費と本体工事費とで大きく異なります。
本体工事費の場合、照明器具や空調設備、造作家具などという工事費が含まれないケースが多く、これも会社によって異なるという点が、お客様を混乱させる要因でもあると私は考えます。
また一方、床面積とひとくちに言っても、いわゆる確認申請上の床面積と工事を行う上での施工床面積とでは、数値に大きな差があります。
例えば、確認申請では床面積として算入されない吹き抜けやロフト(屋根裏収納)などという部分も、施工床面積としては算入されます。
吹き抜けは床が張られていませんが、壁と天井があり、吹き抜け部分の高い位置での工事では足場を組む必要があるため、施工床面積として算入されます。
このように、割られる数値(工事費)と割る数値(床面積)の両方の計算方法が明確に決められていない以上、比較なんて安易に出来ません。
工事費と床面積のいずれもどこまでを含めるのかという基準を設けない限り、「坪単価」と言ってもほとんど意味が無いと思います。
ちなみに、私が「坪単価」の基準を決めるならば、工事費は外構工事を除いて住宅建設にかかった全ての費用(円)を施工床面積(坪)で割った数値とするのが妥当だと考えます。
ただし、ここまで書いておきながら言うのは気が引けますが、同じ木造の施工床面積であっても平屋建てと二階建てと三階建てとでは、建設費用が異なるので比較にはなりませんので、あしからず。
しかし、施工床面積の小さな住宅であっても大きな住宅であっても、グレードの差はあれ、浴室や洗面室、トイレ、キッチンといった水周り設備は、日常生活に必要な設備として変わらないので、小住宅のほうが坪単価で比較すると高くなる傾向にあるということは言えるのではないでしょうか。